06.12.12
11月28日、日本建築家協会神奈川支部の主催により、「中原洋」さんの講演会が開催されました。タイトルは「平面プランと暮らし、あるいは接客の文化」。私は当初からこの講演会の企画側にまわっていましたので、簡単にレポート致します。まず中原洋さんは、建築を建築業界の外側から編集という立場を通じて関わりをお持ちです。前回の企画は建築家をよんで講演会を開いたのですが、その時の来場者の多数は学生が占めていました。ところが今回は学生が僅か2名程度。学生の憧れという視点では確かに知名度は劣るかもしれませんが、それよりも忙しい平日の夕方に実務に携わっている建築家が多数押し寄せた点が興味深い。
企画者の立場として、やはり講演会を盛り上げるには学生の参加は不可欠と考え、建築家室伏次郎氏を交えてのパネルディスカッションを後半に盛り込んだり、各大学にポスターを貼ったり、講師を通じてアナウンスもしましたが、結果は学生の反応はほとんど無かった、という事になりました。タイトルから、ビジュアルなものは見えにくく、むしろ生活文化に主眼を置いた、ソフトとハードの関わりをどう考えるか、つまり思想的ニュアンスが感じ取れます。実際、講演では住まい手側の生活文化に対して、ハードを計画する建築家が、設計を通じてどこまで口出し出来るか、あるいは、我々建築家はどの様にして生活文化そのものを建築設計を通じて誘導して行くべきなのか、が問われていたと思います。言い方を変えれば、クライアントの要望や表面的なデザインばかりに気をとられていないか、という警告に他なりません。
後半の室伏次郎氏との対談で、その構図がより明確化され、プランそのものを教わるチャンスの少ない学生にも、是非聞いてもらいたい大変に有意義な講演会でした。