Report

「第16回JIA神奈川大学生卒業設計コンクール審査」レポート

05.03.21

3月19日、JIA(日本建築家協会)神奈川支部の主催する恒例行事である、建築学科の大学生を対象にした卒業設計コンクールが行われました。私が大学を卒業した時にはもう始まっていましたが、既に16回目を迎えました。今年は現JIA神奈川代表の山口さんの推薦もあって、私も審査員に加わらせて頂きましたので簡単なエピソードを。

当日は東京電力さんの提供してくれた体育館で行われたのですが、とにかく寒い。朝から皆コートとマフラーを着用した状態での公開審査となりました。1次審査はまだ現地到着していない学生の作品が数点あった様に思いますが(つまりブースだけが空しくある状態・・)、とにかく時間がないのでスタート。学生の適当さは何時の時代も同じである。(特にYK大学?)それにしても点数が多いので(各大学が優秀作3点程は出してくる)全て見るには、ほとんど学生の話にまともに耳を傾けている暇はない。つかまったら最後。一カ所に10分以上も捕まると後が間に合わない。案の定、最後の方は駆け足で、かなり焦りながら作品を見る事になったのです。

なんとか無事に見終えて投票、そしてお昼の休憩。ゆっくりする間もなく午後の2次審査に突中。ここからは各作品を推して議論を行うのですが、どうやら方向性としては、私が一番推したくなかった作品(私の母校なのだが)が金賞へと向かっている様でかなり焦りながらその他の作品を擁護するが、今ひとつ決定打に欠けたために撃沈。招待審査員の藤本氏と小泉氏に推されては手も足も出ないなぁ。私もその作品の空間構想力は巧妙でユニークだと認めるが、その勢いで全てが完結してしまっているところについては、結局「空間の発明」かと。

メディアという名のいろいろな場所で、花火のごとく打ち上げられては消えていく空間の発明の繰り返しはもういいよね、と言いたかった。その先に何があるのか、作家としての原点がどうも見えない。巧妙なプログラムや仕組まれた構想を言っているのではなくて、つまり血の通った空間に向かうどろどろした作家性が感じられない。中味も仮に与えられた図書館だし、つまり何でもよかったと理解した方が分かり易い。立地もどこでも良い。アイデアコンペで評価を得るのならば分かるが卒業設計としてはどうなのか。古い考えだろうか。

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