Report

「ドタバタ竣工レポート」

09.10.13

先月、平塚と宇都宮と徳島で3件の住宅が竣工しました。遠方から近場まで、ご依頼頂いたクライアントにはほんとに頭の下がる思いです。それぞれ立地条件やクライアントの年齢は異なり、出来上がった住宅の雰囲気も大きく異なりますが、どれもとても喜んで頂き引き渡しを迎えることが出来ました。同じ月に3件の住宅が竣工するのは独立してから初めてのことですし、パートナーとして常に一緒に動いているスタッフの力作でもありますので簡単ですが報告いたします。

まず平塚に竣工した住宅はデッキの中庭がそのまま階段になり、ぐるっとまわって平屋部分の屋上まで連続する家です。フロアはメゾネットになっていて、階段に座るとデッキの微妙なレベル差が周辺からの目線や見たくない風景を遮断していることが分かります。開口部は全て構造壁の戸袋へ収納出来るので、内部と外部が一体化し中庭のデッキも含めて全てが家の中の様な錯覚を覚えますが、一方で中庭を取り囲む風景がまるで小さな村の様でもあり、不思議な二面性をもった住宅です。中庭から階段を通じてそのままイメージが空へ抜けていく様な、そんな開放感に満ちた昼下がりをイメージしながら計画しました。

次に竣工した宇都宮の住宅は、造成された崖地に建っていますが、崖地の眺望に平行して3つのレベルのスラブを設け、眺望から遠ざかるにつれて段々に床が下がっていく構成です。一番下にいる時は外部からの目線を気にすることなく、壁に囲まれた安心感があり、一方で一番上にいるときは、全面開放された開口部から田園風景を一望出来る、という具合に、風景に対してどの程度開くのかを自分の居る場所で調整できる構成です。

また一番上のデッキには縁側が設けてあり、自然な動作で座ってしまう、風景に向かう、ということを促しています。絶景に面した縁側に座る、という通常体験したことがない過ごし方を提案出来たと思います。

最後に竣工した徳島の住宅は、Sの字型の細長い住宅です。文字通り二つのコの字型中庭があり、建物のアウトラインとしてはほぼ四角いカタチをしています。つまり外観は四角いけど中にはいるとウネウネとうねりながら、向こう側に見えそうで見えないシークエンスをつくりだしています。長い家にはあちこちに質感の異なる居場所があり、しかも外部からの目線を気にすることなく、それぞれの居場所から中庭や山並みを眺望できる構成です。うねる空間は、共通ルールとして垂木表しの天井に覆われ、見えないその先の空間にイメージを引っ張っていきます。僅か25坪弱の空間により豊かでバリエーションに富んだ居場所を「点在」させることがこの住宅で取り組んだ課題でした。

お世話になりましたクライアント及び監督さんに心からお礼を申し上げます。

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