11.05.28
先月末から今月上旬にかけて東京、茅ヶ崎、岐阜で3件の住宅が竣工し、それぞれ竣工写真を撮影しましたので3回に分けて報告しようと思います。
まず東京都北区のこの住宅は敷地が17坪という狭小宅地に建つ小さな住宅です。周囲を古い木造家屋に取り囲まれており、既存家屋が建っていた時に敷地を見たときは、全く余裕の無い建ち並びに風穴を開ける必要を強く感じました。
一般的な開口部の考え方では太陽の直射光を得ることは非常に難しいことと、”空が見たい”というクライアントの要望もあり、結果として2階の大半を占める大きなトップライと、さらに空しか見えない屋上テラス(空の間)が生まれました。東京に出かけると空が建物に切り取られ、寂しい表情を見せることがあります。でもその風景に憧れ、美しいと感じることも多く、この住宅で過ごす日常生活に僅かでも感動する瞬間を生み出すことが出来たら、と思うのです。
この住宅はもうひとつ重要な仕掛けがあります。小さな、、というちょっと失礼ですがほんとに小さな空間に螺旋状に回転しながら上っていく階段上状の動線に様々なスケール、様々な目線のズレを計画し、その僅かな居場所にいろんな過ごし方を発見しながら家族内に多様な関係を生むように考えてあります。
一般的に小規模な空間はできるだけ壁を無くして広く感じるように、という具合に考える様ですが僕はむしろその逆で、いかに目線を遮り空間を分節するか、を考えます。この住宅はそんな意味で、ヒューマンスケールの蓄積による空間構成を徹底したとても分かりやすい例とも言えます。