07.05.11
一ヶ月ほど前になってしまいますが、私の先生である建築家吉田研介氏の自邸で花見と称して飲み会がありました。毎度お誘い頂いて年に数回飲み会(目標は勉強会)に行くのですが、多くは吉田設計室で集まる事が多いので、自邸には久しぶりに伺いました。今回も先生の人柄が表れており、先生と吉田設計室のスタッフを含めて12名くらいのこぢんまりしたものでした。以前、夏に自邸で勉強会などやるときは学生が庭で肉を焼くのが恒例でしたので、とても多くの人で溢れかえっていましたが、先生は既に大学を退職されていますから、きっぱりと縁を切られた様です。ですから、今回の焼き肉係はスタッフです。
先生の自邸は、玄関扉を開くと目の前に吹き抜けのある真っ白な美術館の様な空間が広がっており、大きな一枚のガラスで庭と隔てられています。玄関という形式的な場はありませんから、普通の人ならまずそこで驚くでしょう。それから今では当たり前になりつつあるダイニングキッチンという場もありません。清楚な吹き抜け空間がリビングであり、ダイニングである事には違いありませんが、キッチンは完全に奧の部屋として隔離されています。この点についてはむしろ古典的な感じもする部分です。そして30年近く経過した住宅とは思えないほど瑞々しく当時のモダニズムの雰囲気を伝えてくれます。今のつまらない量産住宅の寿命を考えれば信じられない事です。普通の家なら10年も住めばもう愛着も無くなってむちゃくちゃですから。さて、日も落ちて皆で持ち寄った作品のスライドショウなどをしてから焼き肉パーティーです。酒もまわって、結局花を見ないで帰りました。