07.06.05
今年に入ってから設計を行ってきました河口湖の住宅が上棟しました。この住宅の敷地は決して恵まれているとは言えない環境で、むしろその条件が都市的な 住宅を構想させた要因かもしれません。模型写真はプロジェクトのコーナーでも紹介していますので、参照して頂ければと思いますが、幾つかの高さの異なる 居場所をシンプルな切妻型屋根で覆うプロジェクトです。広島でも同時に同様の思想で進めているプロジェクトがあり、予定通りに進めば来月には着工出来そうです。温熱環境を除けば、敷地の環境は共に似ており、それぞれ地域性とクライアントの要望から詳細の構成が決まって来ますから、似ている様で大きく違 います。結局、設計プロセスは全く別なルートを歩み、結論が共有されている様な感じ。どこまで行っても私の仕事は合理化とは縁が無い様です。
ところで、この住宅、1階と2階は高さが400ミリのスリットで縁を切るデザインになっていますが、そこに筋交いは一切入らない構造になっています。まるで2階には筋交いが無い様にも見えますが、1階から2階まで延びるキッチンボックスと2階の押し入れボックスで筋交いによる全体の壁量と偏芯バランス を取っています。屋根まで到達しているキッチンボックスの屋根はトップライトになっていて、1階のキッチンまで太陽光が届き、周囲へ太陽光を供給する仕 掛けです。構造はTHR構造設計室の鈴木孝夫さんですが、一見不安定そうに見える構造形式が、建て方が進むにつれて全体が固まり、構造が成立していくプ ロセスは見ていて壮快です。広島のプロジェクトは河口湖プロジェクト以上に床高の差異が大きく、二人の居場所という小さな場所もあります。どちらも、町 並みを家に封じ込める、という思想は共通しています。