10.07.22
7月22日、東海大学で前期の全課題優秀作品を集めた総合講評会が開催されました。昨年同様、私の担当する2年の前期は街に建つ小さなギャラリーと別荘、そして都会に建つ住宅兼店舗の3課題です。ギャラリーが単一的でプログラムの単純な空間設計であるのに対して、別荘になったとたんに満たさなくてはならない機能が増し、さらに店舗が加わることで複雑さが増します。同じく、周辺環境への読み方が課題を解く上で極めて重要になり、ギャラリーではさほど気にしなくてもよかったパブリックとプライバシーの問題、さらに外部環境と内部の関係において、閉じることと開くこと、その複雑な関係を計画を通じて提案しなければいけません。
いずれにしても授業中では不満もたくさんあった作品達(今期の2年はS(最上位)評価が無かった)ですが、あらためて総合講評会で壇上に上がった模型とプレゼンテーションパネルを眺めると、とても優秀であった様に思います。一つ一つ詳しく見ていけば不満もあるけど、総体としてよく頑張っている。頑張った学生は評価の善し悪しに関係なく、とても印象に残っていて、これから先も頑張って建築の道をあきらめないで継続してほしいと願ってしまいます。たった半年の付き合いだけど、真っ直ぐに空間へ向かっている学生は生き生きとしていて目が輝いているから、それだけで全員を評価してあげたい気持ちで一杯になります。
岸本賞として本を差し上げた伊丹ジゼレユミさん、卒業して将来はブラジルへ帰るそうですが、その話を聞いた瞬間ほど教えることの責任と重要性を認識したことはありませんでした。青春の僅かなひととき、日本で学んだ経験がきっと母国で生かせますように。本にサインを求められた時は戸惑いましたが、彼女のこれから先の長い人生、何かの励み(思い出?)になってくれたら嬉しいです。