12.12.27
神奈川県開成町で設計・監理を行ってきましたO-clinic house-Oが竣工しました。スケジュール表を遡ってみますと2010年11月に基本構想に着手していますので、およそ2年経過したことになります。一般的な規模の住宅でも多くの場合で15ヶ月前後必要ですので、むしろ早かったという印象です。
この建築は1階と2階の一部がクリニック、2階が住宅という構成です。3方を道に面した敷地は公共建築の立地としてはアクセスに適しており、外周部に駐車場を確保し易い利点はありますが、反面、建物の外観を考えると車に囲まれた殺伐とした風景になりがちです。地域医療としてのコミュニケーションの役割と街並み参加の重要性を考えると、外観とアプローチ周りの風景はとても大切で、来客以外の人にも還元できる半戸外空間や四季折々に目を楽しませてくれる植栽計画が大切だと思いました。その結果、ピロティで住宅部を浮かせることにより、まるで大屋根による軒先空間のような半戸外をつくり、そこを介して接続する中庭を設けました。中庭の様ですが、実はかなり街並みへも開いています。その開き方のバランスが大切でした。
2階に上がると、ルーフテラスを利用した屋上緑化によるプライベートな庭があります。屋上のテラスは、前面道路からの目線を気にすることなく安心して開くための空間ですが、同時に、隣接して建つ木造2階建て住宅への圧迫感軽減と日照への配慮でもあります。階段状の段差を設けた屋上テラスにはそのまま座ることも出来、将来、ヤマボウシがテラスを覆うほどに成長したころ、夏の昼下がりにそこでのんびりと過ごすクライアントをイメージしました。
公共建築に限らず、もちろん住宅建築でも植栽計画はとても重要です。acaaでは全ての建築で植栽を計画しますが、費用が無くなれば施主と一緒に僕たちが植えます。例え少しでも、小さくても、まずは植えることから始めなければ時の経過による価値の創出がスタートしません。O-clinic house-Oでは岐阜から「園三」の田畑さんに来ていただいてデザインをお願いしました。竣工時はもちろん素敵ですが、これから時間が経つにつれてもっと深い味わいが出ればと願っております。
acaaでクリニックを設計監理させて頂いたのはこれがはじめでですが、開院後も来客から好評をいただいているとのお褒めのお言葉をいただきました。むしろこの様なチャンスをいただいたクライアントには我々こそ感謝しなければなりません。どうもありがとうございました。また今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。