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そしてまた、ちいさな家が竣工しました。

20.12.18

今年の夏盛のころになりますが、昨年の横浜に続いて相模原市にも一人暮らしのちいさな家が竣工いたしました。都市郊外の静かな立地で、左右は家屋が隣接していますが、裏は畑が広がり正面も広い空が望める高台に位置しています。頂いたご要望を振り返ると明確なものはほとんどなく、一方でそれでも建築家に家をつくってもらいたいという希望の背後に見え隠れする、生活空間に対する切実な憧れのようなものを感じることができました。言うまでもなく、こういった具体性を欠く憧れこそが空間を飛躍させますし、量産住宅では叶えることが出来ない最も切実な部分ではないでしょうか。それは過去のクライアントにも言える傾向ですが、具体的且つ明瞭な要望があるのではなく、「ハウスメーカーでは叶わない何か」を求めていらっしゃいますので、私はその要望に応えなければなりません。

さてこの家は繰り返しますがちいさいです。生活空間に必要以上のおおきさは本来必要ないので、必然的ですが、一方で全くLDKプランでもありませんので、立体構成が生み出す空間の分節と視点の変化、さらに仰角と俯角による風景の創出がこの家で実現した特徴です。分節されたそれぞれの部分は、例えば2畳くらいだったり、4.5畳くらいだったりするわけですが、隣接する居場所との関係で空間の広がりを感じますので、家の全体規模も常に感じ取りながら生活するということになります。さらにこの家の特徴を挙げるとすれば、ONとOFF、パブリックとプライベートを明確に分けて、それらが実は迷路的に繋がっているというプラン上のギミックです。こればかりは写真で説明することは大変面倒なので避けますが、限りある予算、そして実現可能な床面積を、より広くそして多様にするための立体構成と言って良いと思います。はじめての家つくりで不安なことや面倒なことも多々あったかと思いますが、全てをお任せ頂いて我々としてもベストを尽くすことが出来ました。改めまして、ご依頼頂きましたことを感謝致します。有り難う御座いました!

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