Report

House-O竣工レポート

12.05.01

厚木市で設計監理を行ってきました住宅が先月竣工しました。周囲には平屋と2階建て住宅、低層マンションが混在する住宅地ですが、隙間が多くのどかな雰囲気の場所です。外観は木の箱が敷地に添って四角く切り取られてただ置いた風情で、プライバシー上の要求から外部には通気目的以外の窓はありません。閉鎖的な家は周囲にあまり気持ちのよい雰囲気を与えないものですが、平屋の木の箱にしたのは周囲への配慮という意味もあります。

この家は中庭に開いた家です。外観に見える格子戸を開いて中庭に入ってから玄関へと向かいます。玄関を含め、家のあちこちに小さい居場所があり、そこから中庭を眺めるのですが、お互いが正対する関係にならない様にちょっと複雑な角度で中庭を切り取るデザインとしています。中庭に面する屋根は出来るだけ高さを低く抑え、プロポーションを整えることで、びっくりする位にコンパクトな面積ですが広く奥行きを感じる空間になっています。さらに、中庭に紅葉を点在させて配置することによって中庭の奥行きをより深いものにしています。

中庭に面して縁側が設けてあります。ちょうど洗面・浴室廻りから畳の間の前を通って主寝室へ向かう途中にあるので、最低でも一日に2回は必ず縁側を通ることになります。例え雨や寒い日であっても、そこを通るときには外気に触れ外を感じることが出来ます。昔の民家では当たり前であったそんな生活スタイルから、現代だからこそ得られる家に対する心地よさというものがあり、その結果としての家への思いなのでしょう。これは私の提案だったのですが。でも、クライアントを見ていて、絶対に必要だと思ったので、そうしました。

この家を上から見ると木の外皮の中に真っ白な中身が詰まっている様に見えます。外壁の木に包まれた優しさに対して内部は幾分木の主張を抑えるデザインにした理由はクライアントの好みを反映した結果です。家は日常を過ごす場であることは誰もが否定しないことですが、一方で我々には住む喜びを非日常性として住空間に反映することも大切だと思っています。そのバランスがとても大切なのであって、この家の真っ白な仕上げと木の色のバランスは現場においても検討を重ね、クライアントの言葉にならない要望を空間として反映させた結果です。

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