13.06.14
acaaにとても近い茅ヶ崎の現場が竣工し雑誌の取材に立ち会ってきました。割と海に近い住宅街の中、間口が狭くて奥行きのある敷地に、敷地のカタチそのままのアウトラインを描き、中庭を封じ込めた家です。
最寄りの駅はJR辻堂駅ですが、駅から海に向かって続く住宅街の中で、しかも隣が3階建てということもあり、住環境を外部に依存することなく敷地の中で完結してしまう必要がありました。それはプライバシーの確保と同時にセキュリティー上の問題もあるからです。そうとなれば、外観は極力おとなしく目立たない方がよいと思いました。消極的かもしれませんが、そこで目立っても仕方ありませんので。むしろ、街区から敷地へ進入し、そこから少しずつ内部へと移り変わっていくグラデーションが住空間を豊かにするだろうと思いました。
二つある中庭の内の一つはアプローチを兼ねています。いずれもとても小さな面積しか割り振っていませんが、中庭の豊かさは面積で決まるわけではありません。大切なことは光の回り込みと反射率を考慮した空間断面のプロポーションをしっかりと把握することです。その際、適切なプロポーションは、そこに接続する内部空間によって変化します。難しいですね。。。こればかりは、毎回仕事していて本当に難しいと思います。模型を使って、図面やスケッチを繰り返し修正しながら想像力をフルに使って考えるのですが。
この住宅のもう一つの大切なテーマは、2階建ての1階と2階を、長い路地を巡るようにして繋げたいと思ったことと、いずれにしても1階と2階では採光条件が全く異なるので、暗くて湿った1階をより陰翳があるウエットな空間として表現し、明るくドライな2階をより体積感のある開放的な空間として表現することでした。
クライアントの趣味である骨董(壺)と園三の田畑さんが施工した植栽が、今後長きにわたり住空間に彩りを添えてくれることを期待しています。