14.09.12
7月11日から8月8日にかけて東京建築士会主催による住宅建築賞入賞作品展2014が京橋のAGC studioで開催されました。acaa設計監理によるHouse―H~黒いクレバス~が出展され同時にオープニングレセプションが開催されましたのでスタッフ共々参加して来ました。
会場では審査委員と入賞者とのディスカッションが行われ、その流れで懇親会が開催されました。主催者側の意図もありますが、基本的には都市における小規模な住空間が受賞対象であることは間違いありません。
今も昔も、都市における住環境に取り組む建築家の姿勢には常にアカデミックな視点が欠かせないと思いますし、若手登竜門的な位置付けのこの賞もそういった意味で思想と現実の格闘技の様相も呈してきていると思います。
acaaの設計監理による住宅の立地は、都市部よりも田舎の方がどちらかと言えば多く、その結果平屋住宅が実績には多いです。
都市部では敷地が狭く、田舎に行くと敷地が広い、といった構図はほぼ間違いないのですが、敷地が狭いほどに実は様々なことを思考レベルで検討しなければならないので、結果的に格闘技的な、つまり思考レベルにおける力業が必要になると思っています。
一方で田舎の敷地では、制度や近隣による縛りが少ない分だけ、実は如何ようにでもなる、という可能性から一つの形態、空間を選び取るための感覚が、思考力よりはむしろ形と風景との関係を読む直感の方が重要であると思っています。前者が左脳であれば後者は右脳かもしれませんね。
同じ住宅に取り組みながら、特にacaaの場合はその立地の差異がとても大きいので、つまりHouse-Hの様に東京の真ん中、狭小旗竿地から周囲に家が無い田舎の高原までご依頼頂きますので、思考と身体、論理と直感の両方で設計に取り組んでいるわけです。
我々が何より感謝しなければならないのは、遠距離、近距離に関係なくご依頼いただくクライアントですが、今回の入賞は都市部でもよいお家が建つという自信を持つことが出来たことは収穫であり、審査委員の皆さんにはお礼を申し上げなくてはなりません。