15.07.02
全国から選抜されてきた50作品以上が東京に集まり、その中からさらに賞を決めるというコンクールが開催されました。主催は日本建築家協会です。
私はこのコンクールの副実行委員長になって2年目ですが、毎年のように多くの力作を目にするのはとてもいい刺激になります。私も学内の賞決めや神奈川県内の卒業設計コンクールなどに携わったりしているのですが、なかなか地方の作品を直接見たり話を聞いたりするチャンスはありませんので、よい機会だと思っています。
このコンクールの特徴は、日本建築家協会の主催ということもあって、新奇性、奇抜性というよりもむしろ、将来建築家になる人を見極めて応援するという主旨ではないかと思っています。今や学生の設計は、ともすればとても実現不可能な夢物語をたくさん目にするわけですが、そのなかから、建築家の卵を見つけ出すのはとても大変な作業だなといつも思います。時間を見つけて一つ一つ、学生から話しを聞きながら作品を拝見するのですが、まずは自分なりの判断基準でみるしかありません。その上で、改めてこの子は将来建築家を目指すのだろうか?と考えたりします。どんなに優秀でも、最近ではハウスメーカーや行政に就職して、設計する側の主体として活動することを希望しない学生も多くなってきています。時代の流れがそうなのでしょう。いろんなことが絡むでしょうが、一言で言ってしまえば安定志向なのでしょうね。
さて、コンクールの結果ですが、私が応援していた作品は入賞しませんでした。残念ですが、審査委員によって毎年の様に入賞する傾向、作風は大きく異なります。これも「建築家」が選ぶ賞ということで考えれば当然ですね。どこでも同じようなものが評価される様では、すぐに器用な学生はそれら傾向を研究しマニュアル化するでしょう。しかし実際そうはならないところが、いきつくところ建築は芸術なので、本当に好きなことしか出来ないということかもしれません。